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リニューアルによるスペクタクルな展示の演出と
内容拡充でリピーター獲得に成功

 
 豊橋市自然史博物館 中生代展示室

 去る4月26日、愛知県豊橋市にある「豊橋市自然史博物館」の「中生代展示室」がリニューアルオープンした。

  同館は1988年5月1日に豊橋市により開設され、1992年に動物園、遊園地のある「豊橋総合動植物公園(通称:のんほいパーク)」内に統合された。2007年度の入場者数は約48万9000人を記録しており、東海地方でも有数の自然史博物館である。

 館内は古生代展示室、中生代展示室、エドモントサウルス展示室、新生代展示室と、来館者が地球の歴史と生物の進化の流れをたどれるように展示室が配されている。

豊橋総合動植物公園内に立地。博物館近くには緑のある公園が広がり、家族客が多く訪れる
豊橋総合動植物公園内に立地。博物館近くには緑のある公園が広がり、家族客が多く訪れる

 88年の開館当初は、古生代の解明が進んでいなかったことや、標本が日本では入手しづらかったことから、展示はジオラマが中心だった。しかし2001年からスタートした豊橋市による第4次基本構想・基本計画の整備事業の一環として、展示改装が開始され、04年には古生代展示室(506m2)が一部を増築し、改装オープンをしている。

 今回リニューアルオープンした中生代展示室(794m2)は、約2億5000万年〜6500万年前の恐竜など爬虫類が栄えた時期で、ユアンモウサウルス(全長17m)、アロサウルスなどをはじめとする10体の恐竜の全身骨格を展示している。また恐竜の卵や糞や足跡などのほか、当時生息していた動植物の化石など、約330点を一堂に展示し、展示物の充実を図った。

 同展示室では「複合交差型展示」を採用しており、ユアンモウサウルスの骨格展示では、胴体の下に通路を設け、来館者は標本を真下から観察できるほか、展示室に設けられた中二階からは、標本を見下ろすことができる。さらに、コンピュータグラフィックによる恐竜の映像や声を展示室の壁面に流したり、発掘現場をモニターで検索したり、ハンズオン展示を配するなど、来館者はさまざまな角度や視点から観察することができるように、展示方法にも創意工夫がなされている。

 一方、「エドモントサウルス展示室」では実物骨格や化石などを集め、増築部分にはジオラマと映像により当時の地球環境ショートストーリーで紹介する「恐竜劇場」を30分おきに上映している。

 また、小学生とその同伴の保護者、家族連れなど幅広い年代が訪れるため、展示物の解説の高さは大人の目線に合わせたものと、子どもの目線に合わせた2つの視点に配慮した二段展示や、ユニバーサルデザインにも対応している。

 このほか、コンピュータによるクイズラリーゲームも館内に新たに導入した。これは来館者がゲームのスタート時に名前を登録し、展示物に関するクイズを解いていくもので、古生代にはじまり、中生代、新生代へと生物の進化に基づいたゲームが展開される。

 一度では見きれないほどの充実した展示物や、訪れる度に新たな発見のある複合交差型展示など、「また見に行きたい」と思わせる工夫を随所に施すことにより、リピーターの増加を見込み、08年度は年間53万人の集客を目指す。

ユアンモウサウルスを中心に展示した中生代展示室。飛行する翼竜は天井近くに展示するなど、当時の様子がイメージできるように骨格標本を配した 展示されている恐竜が生きていた頃の様子をCGで再現。音や声とともに、中生代展示室で30分に1回上映している 標本の下に設けられた通路を使い、骨格を真下から観察するなど、さまざまな角度から展示物を楽しむことができる複合交差型展示を採用
(左)●ユアンモウサウルスを中心に展示した中生代展示室。飛行する翼竜は天井近くに展示するなど、当時の様子がイメージできるように骨格標本を配した
(中)●展示されている恐竜が生きていた頃の様子をCGで再現。音や声とともに、中生代展示室で30分に1回上映している
(右)●標本の下に設けられた通路を使い、骨格を真下から観察するなど、さまざまな角度から展示物を楽しむことができる複合交差型展示を採用

博物館中央の自然史スクエアでは肉食恐竜のティラノサウルスなど、比較的小さい恐竜の骨格標本を見ることができる エドモントサウルス展示室。階段を降りながら観察できる。発掘現場の写真も併せて展示している
(左)●博物館中央の自然史スクエアでは肉食恐竜のティラノサウルスなど、比較的小さい恐竜の骨格標本を見ることができる
(右)●エドモントサウルス展示室。階段を降りながら観察できる。発掘現場の写真も併せて展示している

博物館エントランス近くでは恐竜とその卵を動刻で再現。1時間に1度、卵が孵化する動きを見せる。毎時必ず人だかりができるほどの人気 リサーチテーブル。ボランティアがいる時にはケースから標本を出し、来館者は直接触ることができる 展示室中2階部分からは標本を見下ろすことができ、訪れる度に新しい発見がある
(左)●博物館エントランス近くでは恐竜とその卵を動刻で再現。1時間に1度、卵が孵化する動きを見せる。毎時必ず人だかりができるほどの人気
(中)●リサーチテーブル。ボランティアがいる時にはケースから標本を出し、来館者は直接触ることができる
(右)●展示室中2階部分からは標本を見下ろすことができ、訪れる度に新しい発見がある

改装の際に新設された「恐竜劇場」。ジオラマとCGを使い、子ども向けに中生代や恐竜の絶滅について解説を行なう 古生代展示室ではコンピュータ画面が一定間隔で置かれ、参加者がクイズを解いていく。ユニバーサルデザインを採用した展示物の解説パネルが設置されている
(左)●改装の際に新設された「恐竜劇場」。ジオラマとCGを使い、子ども向けに中生代や恐竜の絶滅について解説を行なう
(右)●古生代展示室ではコンピュータ画面が一定間隔で置かれ、参加者がクイズを解いていく。ユニバーサルデザインを採用した展示物の解説パネルが設置されている

新生代展示室では人類の誕生を中心に展示し、現在の地球環境や未来を考える機会を提供する 郷土の自然展示室では、東三河の動植物を中心に紹介 すでにリニューアルされた古生代展示室の入口。地球の誕生などを中心に、隕石など触ることのできる展示物も置く
(左)●新生代展示室では人類の誕生を中心に展示し、現在の地球環境や未来を考える機会を提供する
(中)●郷土の自然展示室では、東三河の動植物を中心に紹介
(右)●すでにリニューアルされた古生代展示室の入口。地球の誕生などを中心に、隕石など触ることのできる展示物も置く

豊橋市自然史博物館
副館長兼事務長
 
松岡 敬二

質・量ともに最高の展示物と
オリジナリティの高い展示方法で
「また行きたい」と思わせる
施設を目指します

松岡氏

 博物館展示の難しさは、学問上の発見があったとしても、それを来館者に提示する標本がなければ展示ができないというところにあります。1988年のオープン時には収蔵品はほとんどない状態でしたが、毎年標本を集めていき、現在は古生代のものだけでも数千点もの収蔵品があります。一般的な博物館では、収蔵品のうち展示しているものはほんの少しに過ぎませんが、当館ではできる限り収蔵品を展示しています。

 展示方法も、単に展示物の解説にとどまらない、多様な展示方法を心がけています。クイズラリーでは、展示をじっくり見ないと回答できない問題を揃えています。

 来館した方が展示物に可能な範囲で触れていただけるコーナーを設けているのも特徴です。ただ、これはボランティアの協力が必要なのですが、なかなか人員が集まらず実施できる回数が少ないのが残念なところですね。

 しかし、こうした工夫が「一度来ただけではまだまだ見足りない」とお客さまに感じさせ、再度足を運んでいただける、リピート率の高い施設となっているのだと思います。

 「のんほいパーク」は非常に大きな集客力をもつ施設です。2006年度には動物園だけで90万人以上の入場者がありました。動植物園と自然史博物館との相乗効果は図りしれません。

 今後、リニューアルを計画している新生代展示室は、当館の展示の集大成となる予定です。緊迫度を増している環境問題や、私たち人類はどうあるべきか、という問題に対して過去の歴史に学び、未来を切り拓いていく力を養うことも当博物館の使命だと思っています。


[所在地] 愛知県豊橋市大岩町字大穴1-238
[リニューアルオープン] 2008年4月26日
[規模] 地上2階建
[延床面積] 6,984m2
[施設内容] 常設展示室5室、特別企画展示室(ダイナビジョンシアター)、講堂
[開館時間] 9:00〜16:30(入館は16:00まで)
[休館日] 毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌平日)、12月29日〜1月1日
[入館料]
(豊橋総合動植物公園入場料)
大人600円(480円)、小中学生100円(80円)
[ダイナビジョンシアター観覧料]
大人500円(400円)、小人200円(160円)
※( )内は30人以上の団体料金
[URL] http://www.toyohaku.gr.jp/sizensi/
 

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